土用の丑の日うなぎの日


 わが国には古くより、夏の土用の丑の日にうなぎを食べる習慣があります。夏の暑い時期を乗り越えるために、うなぎを食べてスタミナをつけようという日本人の知恵なのかもしれません。

 私も子供の頃からその習慣に従い、うなぎを食べてきましたが、小さい頃は「土用」の意味がわからず、「土曜日」でもないのに、どうして今日食べるんだろうと思ったものです

 この『土用』とは、古代中国の暦法にある「五行説」からきており、この世のすべての事象は「木 ・ 火 ・ 土 ・ 金 ・ 水」の5つに分類され、それを季節に当てはめると、「春=木」 ・ 「夏=火」 ・ 「秋=金」 ・ 「冬=水」となります。そして残った「土」は、それぞれの季節の終盤の約18日間に当てはめられました。これが『土用』です。

 『丑の日』は、皆さんご存知の「子・丑・寅・・・・・・・」の十二干支のことで、年だけではなく、月にも、日にも、時間にも当てはめられています。丑年が12年に1度訪れるように、12日に1度は丑の日です。2010年の夏の『土用の丑の日』は、 7月26日(月) です。

 では、なぜ夏の土用の丑の日にうなぎを食べるようになったのでしょうか。この由来については諸説あるようですが、かの「平賀源内」さんが発案したとの説が一般的です。
 
 それによると、夏になると売れ行きが伸びないで困っていたうなぎ屋が、なんとかしてうなぎを売ろうと、平賀源内さんのところへ相談しに行くと、「丑の日に『う』のつく物を食べると夏バテしない」というから、店先に『本日丑の日』と書いて貼り出しなさいとアドバイスしたそうです。うなぎ屋がその通りにしてみると、あの有名な平賀源内さんが言うのなら間違いないと、店は大繁盛したそうです。それからは他のうなぎ屋も次々に真似をするようになり、『土用の丑の日』はすっかり民衆の間に定着したと言います。

 そのほかにも、平仮名で『うし』と書くと、その文字が2匹のうなぎに見えたからという説もあります。

 また、『五行』というちょっとプロ的な視点から考えれば、まず、夏は五行では『火』に分類されます。そして『丑』は、季節で分類すれば冬で水性です。さらに『うなぎ』も水の中の水性生物であり、『火』である夏を『水』である丑とうなぎで押さえ込むという、『水克火』の法則が見えてきます。 ひょっとすると、そんな『五行の法則』もベースとなっているのかもしれません。

 とにかく、奈良時代から食べられていたと言う『うなぎ』を、江戸時代からの慣習に従い、『土用の丑の日』には食べようではありませんか

 




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