十二支と動物を考える


 現在一般に使われている十二支という言葉。これは元々は、木星が12年で天を1週するところから、古代中国の天文学で年毎の木星の位置を示すための数詞だったと言われています。

 現在では、十二支と十干を組み合わせたものを「干支」と呼んでいます。

 「子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥」の十二支ですが、中国の戦国時代には民衆にもこれを浸透させる為に、動物が当てはめられました。
 日本には6世紀半ばには伝わったといわれ、江戸時代には庶民の間でも根付いていたようです。

 日本の昔話には、十二支の動物についての次のような話があります。

 『神様が動物たちにおふれを出した。「元日の朝、新年の挨拶に屋敷に出かけてきなさい、1番早く来たものから12番目の者までは、順番で1年間、動物の大将にしてあげよう」ところが猫は、神様のお屋敷にいつ行くのかを忘れてしまい、ネズミに聞くとネズミは知恵を働かせて、わざと1日遅れの日を猫に教えた。

 元日当日牛は足の遅さを考慮して、まだ暗いうちから支度をして出発した。神様のお屋敷に着いてみると、まだ誰もいない。てっきり1番だと信じて門が開くのを待った。

 門が開いた瞬間、牛に気づかれないように牛小屋から背中に乗っていたネズミが飛び降りて、1番になってしまった。よって十二支は子(ねずみ)から始まり、2番目が丑(うし)になった。翌日現れた猫は13番目で、十二支には入っていない。それ以降、猫はネズミを追いかけまわした。』

 動物にたとえられる十二支ですが、本場の中国では亥はイノシシのことではなく、豚のことです。当時の日本には豚がおらず、間違って伝わったようです。さらに世界に目を向けると、ベトナムやベラルーシなどでは豚年や猫年があるそうです。

 豚の太った体型が豊かさを表わし、富の象徴となっているのです。

 さて、豚といえば、映画「豚がいた教室」の撮影安全祈願祭を、主演の妻夫木聡さんらが参加して、北区某所の撮影現場で斉行しました。大阪の小学校で90年〜92年にかけて実際に起こった「豚を飼おう。大きくなったら食べよう。」と新米教師が提案した実践教室での実話だそうです。力を合わせて飼育した後に直面する食べるという当初の目的に、命をめぐる解釈の違いに子供たちの意見が分かれる「命の授業」とも言うべき映画になるとか。

 豚小屋を御祓いした時、古代中国では大切な食用家畜であったことも、十二支にブタが選ばれた要素のひとつであることを思い出しました。
 撮影の安全と成功をお祈りいたします。




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