恵方巻と恵方

 

 ここ数年、東京では2月3日の節分が近づいてくると、コンビニやスーパー、お寿司屋さん等で「恵方巻ご予約承ります」や、「今年の恵方は南南東」などのポスターを数多く見かけるようになりました。

 関西では昔からすっかり定着しているこの「恵方巻」ですが、日本全国に知れ渡るようになったのは、コンビに各社が全国展開してからです。

 この恵方巻とは、関西地方で多く食べられている太巻寿司で、中に七福神にあやかり7種の具が入っており、「福を巻き込む」と言う意味があるそうです。

 元々は明治時代の大阪・船場で始まったらしく、節分の日の夜に、その年の恵方を向いて太巻丸かぶりするのですが、食べている間は目を閉じて願い事をしながら無言でいなければいけないようで、しかも太巻をこぼさないように(福がこぼれるから)一気に丸かぶりするのが習わしとか。

 いずれにしても、「恵方」という言葉が一般に認知され、海苔の消費拡大に一役買ったのは間違いありません。

 さて、「恵方」とはいったい何なのでしょうか。恵方とはその年の歳徳神(1年中徳のある神)のいる方角のことで、「あきの方」とも言われます。

 歳徳神は姫神で、須佐之男命(スサノオノミコト)の妃である、櫛稲田姫とも言われています。

 その方位はその年の最大吉方位となり、昔は恵方参りといって、初詣に自宅から見て恵方の方角の神社へ参拝する習わしもありました。

 歳徳神は毎年その居場所を変えるため、恵方も毎年変わります。

 恵方はその年の十干(じっかん)により、4方位を巡行します。

甲・己の年 → 甲方(東北東) 2009年
乙・庚の年 → 庚方(西南西) 2010年
丙・戊・辛・癸の年 → 丙方(南南東) 2008・2011年
丁・壬の年 → 壬方(北北西) 2012年

 上記のように、本来の恵方は甲方・庚方・丙方・壬方という、十干の方位であらわされます。しかし、現代の日本人には十干方位に馴染みがない為、西洋式の16分割方位の東北東・南南東などの方位で表すことが多いのです。

 当然24分割方位の中国式と、16分割方位の西洋式には数度の方位のズレが生じます。




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