龍の考察


 最近若い女性の間で、箱根の九頭龍神社で「縁結び」の祈願をすることが人気となっているようで、TV・雑誌等での特集も多いようです。そこで、龍について考えてみたいと思います。


龍神として

 
 この九頭龍神社の伝説とは「遠い昔、芦ノ湖が万字池と呼ばれていた頃、池に9頭の毒龍が済みついており、常にいけにえを求めていた。村人がその怒りを静めるために、白矢が立った家の娘をいけにえとして捧げた。やがてこの毒龍は調伏され、池の奥底にある岩に鎖で繋がれた。後にこの龍は改心し龍神になった為、九頭龍神社を設けてお祭りした。」というものです。

 他にも九頭龍と名の付くものには「九頭龍湖」「九頭龍川」などがあり、やはり悪龍の機嫌を損ねないようにお供えをして、荒々しい心を鎮め善龍に変わったり、9つの頭を持った龍に決して悪事をしないと約束させたり等の伝説が残っている様です。

 これらに共通するのは、湖や川・池に住み、お供えをしてお祭りすることにより、悪流から善龍に変化することです。

 古代人にとって、龍は水の神でした。古来より流派雲を呼び雨を降らすと信じられ、水田耕作と結びついて水を尊ぶ気持ちから龍神伝説が多く残っています。

 灌漑技術が未熟だった当時は日照が何日も続くと龍神にいけにえを捧げたり、高僧が祈りを捧げる雨乞いが行なわれていました。神泉苑(現二条城)で、弘法大師が龍神を呼び、雨を降らせたという逸話もあります。稲作をする上で、日照は最大の問題で、人々は雨を求めてきました。その様子は万葉集の大伴家持の歌にも詠まれています。

 また、川がクネクネと蛇行する様子にも、人々は龍や蛇の姿を感じていました。

 恵みをもたらす川も、ひとたび大雨が降ると氾濫し悪龍となります。日本神話で有名な八岐大蛇(ヤマタノオロチ)も、実は大和の八河川のことではないかと言われています。

 そして八岐大蛇を退治したのが須佐之男尊(スサノオノミコト)です。この神話から、氾濫し暴れている龍(河川)を退治し押さえていただけるのは、須佐之男尊しかいらっしゃらないと、我々の祖先は信じたのでしょうか。河川の流域には須佐之男を御祭神とする氷川神社や八雲神社、八坂神社などが多く鎮座している気がします。

 

風水における龍


 風水においても、龍は龍脈と言う大地の気の流れとしてエネルギーを運びます。

 東京への龍脈は、富士山を中心として数本あり、それぞれがうねりながら皇居に到達すると言われ、龍はここで水を飲むために休むのだそうです。

 この場所を「穴」(けつ)といい、最も生気の満ちあふれた場所です。風水ではこの「穴」(けつ)を守る東の守護獣を「青龍」と呼びます。

 等神社も、秩父山系から降りて武蔵野台地をうねる龍脈の最北端の赤羽台に鎮座していると言えるでしょう。龍脈に勢いがありうねりとなって地上に出ている場所には、山(代官山・青山など)や台(白金台・麻布台)や丘(自由が丘など)等の、少し小高い地名が付いていると考えられています。

 このように、龍は想像上の動物でありながら、最も神格化された「聖獣」と言えます。龍に舶来があり、5本指の龍は皇帝専用、4本指の龍は寺院専用、3本指の龍は庶民専用と決められていたほど格が高いのです。

 近年の風水の流行により、一般にもその知識がかなり浸透し、自宅に龍の置物を置いて、金融円満・商売繁盛・縁結び等のパワーをいただこうとする方が増えています。

 ご自分の好みに合った素敵な龍の置物を見つけて、自宅に飾って楽しみながら風水を実践しているようです。龍の置き場所は、一般には玄関(出来れば外から玄関に入って右側)や家の北方位(水の方位)、家の東方位(青龍の方位)が適していると言われています。

 その際にポイントをふたつ。ひとつめは龍の口元に水の入った杯を置いて、龍に水を飲ませて下さい。龍は水がなければ思うように活躍をしてくれないのです。

 毎日杯の水が減っていく様子は、まるで本当に龍が水を飲んでくれているように感じることでしょう。

 ふたつめは、龍に気を入れてあげることです。これから活躍していただく為に、お使 いになる前や定期的に龍に気を入れたり清めたりしてください。方法は簡単で、神社 にお参りに行く際に龍を一緒にお持ちになり、普段通りにご参拝いただければ結構で す。可能であれば、川沿いなど水辺の近くの神社で、境内に「水神社」がご鎮座して いる神社であればなお良いと思われます。

 最後に、龍の喉の下に生えている鱗(りん)。これには触れないことです。これに触れると龍は激怒し、この様子は「逆鱗(げきりん)に触れる」という諺になっていますから。

 




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