スポーツに関する考察

  


 

 平成20年1月21日に、国のスポーツ強化の中枢期間である、ナショナルトレーニングセンターが都内北区西が丘にオープンしました。すでに完成運営されていた国立スポーツ科学センターやトラック施設とともに、選手の宿泊施設であるアスリートヴィレッジも併設され、様々な競技の日本のスポーツエリートが集結出来る、初の施設のようです。今年はオリンピックイヤーでもあり、日本選手の活躍を期待したいところです。

 これら一連の施設は、赤羽八幡神社の兼務社である香取神社の氏子地域にある為、アスリートヴィレジ内の調理場の「火入れ式」は当社がさせていただきました。

 さて、今年は北京オリンピックが開催されますが、選手たちを守護するスポーツの神様について考察してみます。

 古来より日本には八百万神(やおよろずのかみ)と呼ばれるように、たくさんの神様がいらっしゃり、それぞれに御神徳がおありになります。

 古事記の中では、天手力男命(たじからおのみこと)が、天岩戸にお隠れになった天照大神(あまてらすおおみかみ)を、その力で一気に岩戸を開け放ちてお出しし、2度とお入りになれぬよう、岩戸を天上より下界に投げ捨てた怪力の神とされており、現在ではスポーツの守護神として信仰されています。長野県の戸隠神社には、その怪力を伝える伝承もあるようです。

 日本書紀には、怪力同士の野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹶速(たいまのけはや)の対決の話しがあり、相撲の原点と見なされるこの対決に勝った野見宿禰は、相撲の神とされています。

 京都の白峯神社には、蹴鞠の神としての精大明神(せいだいみょうじん)がお祀りされています。現在ではボールを使うスポーツ全般の神として、特にサッカーの守護神としてサポーターから絶大な人気を得ているようです。

 勝負事の神としても有名な和歌山の熊野速玉大社も、近年は地元商工会議所が速玉にちなみ「速玉賞」なる賞を、プロ野球のクルーン投手に贈呈したことで注目を浴びています。今後は野球だけではなく、速さを競う競技での神様となっていくのかもしれません。

 武家社会における、武道・剣術や武運長久を司る神も、やはり現代においてはスポーツの神と言えそうです。鹿島神宮や春日大社の御祭神である建御雷之命(たけみかづちのみこと)は、神話の国譲りのときに十柄剣(とつかのつるぎ)の剣先にあぐらをかいて、大国主命(おおくにぬしのみこと)を威嚇し、国の譲渡を承諾させます。
 香取神宮の御祭神である経津主命(ふつぬしのみこと)も、天孫降臨時には建御雷之命とともに活躍します。この2神は武神・軍神として古来より篤く崇敬されてきました。また香取神道流など、剣術においても影響を与えました。

 鎌倉幕府を中心とする武士の社会では、八幡神社の御祭神である品陀和気命(ほんだわけのみこと)と、諏訪大社の御祭神である建御名方命(たけみなかたのみこと)も、武神として重視されました。鶴岡八幡宮が源氏の守護神となり、八幡信仰は全国に広がりました。

 これらの神々とともに、最近ではスタジアムを氏子区域に持つ神社や、プロ野球やJリーグのチームが優勝祈願に訪れる神社も、勝負と言う面も含めたスポーツの神様と言えるのかもしれません。

 最後に、サッカー日本代表のユニフォームの胸の部分に描かれる3本足の烏。名を八咫烏(やたがらす)と言い、神話で神武天皇の道案内をする、天から使わされた神聖な烏です。この烏は熊野神社の御神紋となっています。日本サッカー協会のシンボルとして、代表チームを勝利に導いてほしいですね。




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